それで今回は東京へ着いてすぐ、御徒町のモンベルにオンラインでオーダーした寝袋とスリーピングマットを取りに行きました。池袋のモンベルは免税店だそうですが、1,400円をセーブするために往復600円の電車賃と平日の夕刻ラッシュアワーと戦く元気もなく、御徒町店で妥協しました。
前出のように種間寺通夜堂での朝は清々しく、時差ボケも気にならず、元気に起きて無料宿泊のマナーである、入る前と同じような状態にするべく、心を込めて清掃しました。若い彼氏は清掃の後すぐに出ていきましたが、私も山門のない山門方向に向かって、合掌し大師法号を唱えます。
さぁ、遍路3日目の出発です。天気は昨日と打って変わって曇り。でも4月中旬の朝は全然寒くないです。途中、道は狭いのに出勤時間のため車が多いです。小学生が数人集合箇所に向かって歩いているので車の心配をしながらその後をつけます。
先の集合箇所ではかなりの人数が集まっており、ここからスクールバスに乗って学校へ行くのでしょうか。楽しそうに集う元気な子供たちから元気をいただきます。
しばらくして仁淀川大橋に着き幅の広い歩道部分を渡っていると、ここでも向かいから自転車に乗った沢山の中学生らとすれ違います。
渡り終り右に回って土手の上を北に向かいます。土手から左に下りる箇所はふたつありますが、道標はどこにもなく、今回は先の方を下ります。しかし地図とは違いちょっと手前で下りてしまったようです。
しかし、56号線の下を潜る通路は見つかりそこを通り抜けます。
土佐市高岡の住宅街を抜けると再度56号線に出ますが、街道を渡ると「土佐市観光・笹岡ハイヤー」という事務所があり、ここでリュックを預からしてもらえると聞いていたので、寄って参拝道具を除き全てを置かせてもらいました。
次の35番清瀧寺は結構高いところにあり、田んぼ道を過ぎて高速を潜るとどんどんと上りになります。また歩き遍路だけが寺の山門(仁王門)を通れるような道順になっています。
ここ清瀧寺には特別な高さ15mもある「厄除け薬師如来立像」があり、今回は心に余裕があり、台座の中の88段戒壇巡りを試みました。
入ると中は真っ暗で狭く、人が一人通れるだけの高さと幅です。しかも気持ち下がるような上がるような上下差があるのに、何も見えません。だんだん不安になりだした頃に出口が見えてきました。なんか、不思議な体験です。
さて、清瀧寺をあとにして山を下ります。笹岡ハイヤーでリュックを引き取り、厚くお礼を申し上げて高岡の中心地にへと向かいます。
お昼は前回も来たベイカリー・イワゴーに決めていたので、そのベイカリー兼レストランの前まで来るとオーナーだかチーフシェフだかが向かい入れてくれました。ここはいろいろな種類のスパゲティーを出します。私はナントヤラと言う貝入りのスパゲティーをオーダーしました。
日本では概してアメリカのパスタ料理と味がかなり違います。ここのイワゴーさんは比較的さっぱり系。アメリカや関東から来た人間にはちょっと物足りないかも知れません。私のは貝の風味でおいしくいただきましたけど。
さ~て、腹もくちくなったところで午後ももうひと頑張りしなければなりません。今晩は36番青龍寺の先の「国民宿舎・土佐」に泊まりますが、途中、塚地峠という峠越えが控えています。
町中から水路沿いに住宅街を斜めに突っ切り、39号線に入ってから単調な道を南へと進むと大師の泉公園が出てきます。そこには休憩所、水車のある池、共同トイレがあり一休みします。
そして峠へと上っていきます。それほど高い峠ではありませんが、今回最初の峠越えです。ピークでは宇佐湾と宇佐大橋を見わたせますが、それほど感激するほどのものでもないのと、今回は木が高く茂り遠方が見にくいこともあって立ち止まらずに峠を下り始めました。
山を下りきりハウスの間を抜けていくと宇佐湾に出ます。今回の国民宿舎では素泊り、しかも1泊2,700円で6人相部屋のドミトリーという部屋を予約したので、夕飯と明日の朝食をどこかで調達しなければなりません。
運よく最近宇佐大橋の手前にファミマが開店したので、ここでいろんなものを買い込みました。以前と比較すると四国の田舎にもコンビニが増えました。おかげで、無料ないし低額で泊まるれるところに泊まり、コンビニ等で安い食事を買うパターンを繋げて安く旅ができるようになりました。
欄干が低く歩くとちょっと怖い宇佐大橋を渡り切り、青龍寺へと足が進みます。
青龍寺の納経所は長い階段の下にあり、本堂、大師堂は上で、国民宿舎への道は上から横に入っていくので、納経を先にいただきリュックを背負ったまま階段を上がります。
国民宿舎はさらに高い所にあるので、本堂、大師堂のお参りを済ませ、右方向へ一旦少し下がりますが、すぐに、岩ゴツゴツの道を上がっていかなければなりません。本日最後の最後で過酷な試練が待っています。上がっていると上から何も持たないおじさんと見るには若い人が下ってきました。挨拶だけしましたが、あとで同室の人と分かりました。
国民宿舎・土佐は歩き遍路の経験のある方がオーナーらしく、低経費で歩いているお遍路さんや同室の人のようにサイクリングで回っている人の為に、観光で泊まる人の豪華な部屋とは別に、安く泊まれる部屋を用意してくれているそうです。
これら安い部屋の客も大浴場や露天風呂に入れます。
私はコンビニで夕飯の弁当を買ってきましたが、前日に続き冷えた弁当では侘しくなり、宿舎の食堂で夕飯を取ることにしました。
オーダーしたのは950円だかの天丼。テーブルに運ばれた天丼を見ると天ぷらに天丼のつゆがかかっていないように見える。そのことをウエイトレスに言うと、つゆはかかっていますが、さらに追加のつゆをお持ちしましょうと持ってきてくれました。
しかしそのつゆを見て驚き。これはただの天つゆではありませんか。天ぷらが単体で出た時のつゆです。これは天丼のつゆじゃないと文句を言ったのですが、これがそうですときっぱりと言い返されました。
天丼の天ぷらには甘辛く味も色も濃いつゆがかかり、それがカツ丼や親子丼のようにご飯にまで浸みて丼を美味しくいただけるのです。ここの料理人は丼ものの作り方を知らないのかと不満たらたらに天丼を食べました。
でも待てよ、ここは関東ではない。もしかしたら関西人はこんなに薄味の天丼を食べているのかとの考えが出てきました。そうだとすると、関西人は天丼の本当の美味しさを知らないのではないかと。